アダルトチルドレンの心理的特徴、心性、生きづらさなどが顕在化すると、医学的および心理学的な治療を必要とする症状を呈することがある。
フリエルによると、その症状としては、うつ病、不安障害、パニック障害、恐怖症、強迫性障害、解離性障害、人格障害、同一性障害などが認められるという。
さらに、摂食障害、嗜癖(アディクション)、胃潰瘍や大腸炎などの消化器障害、睡眠障害、呼吸器障害なども出現するという。
クリッツバーグはこれに加えて、肩凝り、背部痛、性的機能障害、アレルギーなども認められるとしている。
これらの症状は、慢性で遷延性のPTSD(ポスト・トラウマティック・ストレス・ディスオーダー:心的外傷後ストレス障害)としても捉えることができる症状である。
また近年では、精神医学のサイドからもアダルトチルドレンの症状に関心が集まりつつある。
精神科医のマテューらは、アルコール依存症家族に育った狭義のアダルトチルドレンは、空間恐怖や単一恐怖が強く、気分変調症、全般性不安障害、パニック障害、反社会的症状を高率に持っているとしている。
また男性では、アルコール嗜癖や薬物嗜癖が多く、女性では全般性不安障害が多いという。
ただし、同じ精神科医でもシュキットとヘッゼルブロックやクースナーは、不安障害や単一恐怖は呈さないとしている。
またわが国の中山らは、分裂病様状態や解離症状を呈するアダルトチルドレンを報告している。
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ある不登校の相談で高校一年の長女と母親が訪れたセラーピーの例である。
そして、母親には意欲のなさ、生彩のなさ、自分が自分でなく「流されて生きている」という離人体験が認められ、解離性障害が認められた。
また、二女には拒食症が認められた。
このようにアルコール依存症の家族には、その家族成員の数名に症状が認められることがある。
以上のように、アダルトチルドレンの症状は多彩である。
症状からアダルトチルドレンであることを診断することができない。
むろん、アダルトチルドレンのすべてが臨床症状を呈するわけではない。
アダルトチルドレンに生物学的な因子の関与が否定されるわけではないが、親子関係や家族関係の「家族内トラウマ」により臨床症状を呈することは、これまで心理学や精神医学の歴史から遠く乖離した現象でもない。