リラックス呼吸のポイントを一つだけあげるならば、腹筋を絞るときに、肛門に力を入れると、下腹部中心の呼気ができます。
呼気の最後に肛門をギューッと収縮させると、次の呼気は下腹部を中心に膨らませる方向になります。
その理由は、私たち人間は横隔膜を腹側と背中側で別々にコントロールできるようにできているからです。
といっても、自律機能を意識的に調整するには、それなりの訓練が必要です。
肛門を締める努力をすれば、同時に、腸腰筋が収縮します。
この腸腰筋は背中側の横隔膜に結合していますから、呼気の終わりに、背中側の横隔膜を引っ張ることになります。
筋肉は引っ張られると、より大きな力が出ますので、次の呼気では、背中側の横隔膜が強く収縮し、その動きは背中側をまわって、下腹部を膨らませるようになります。
これは「丹田に気を溜める」という丹田呼吸法のコツに通じます。
呼吸法に慣れてきたら、試してみてよいかもしれません。
丹田呼吸法を教える調和道協会副会長の鈴木光弥氏の完全呼吸法を拝見させてもらったことがあります。
呼吸法の詳細がよく分かるようにと、上半身裸で実施してもらいました。
鈴木氏は上虚下実の腹ができあがっていました。
目を見張ったのは、完全呼吸法では、腹筋も横隔膜も自由自在に意識的にコントロールできるということです。
ピアノのうまい人の演奏を見ると、よくまあそこまで指が動かせるものだと感心させられます。
■参考記事
人付き合いは怖いという曲がった信念の治し方 - 切れない人付き合いからの脱出 (hatenablog.com)
鈴木氏の場合には、横隔膜と腹筋とおそらくは腸腰筋を自由自在に操れるというところまで訓練されているという印象でした。
声楽家の呼吸法訓練でも、横隔膜の動きを意識的にコントロールすることが書かれてあります。
リラックス呼吸には人付き合いが怖い人にも効果を表す。
訓練しだいでは、自律機能を自由に制御できるようになる、ということです。
丹田呼吸法の究極は、上虚下実の腹にあると言えますが、間違えないで欲しいのは、呼吸法の目的は、お腹の形を作ることではなく、心と身体を整えることです。